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古本屋日誌
2016年にNHKが放送した『戦艦武蔵の最期』の再放送があった。
フィリピンのシブヤン海の水深1200メートルの深海に沈む武蔵を撮影した100時間を越える未公開映像を分析したものだ。
注目すべきは武蔵が最後の出撃前に艦の色をグレイから明るいグレーに塗り替えていたことだ。
海底に横たわる残骸はバラバラになっていて、前のグレイの塗装の上に明るい色が塗られていることが確認できた。
艦長の猪口敏平の遺書には「武蔵が敵の攻撃を一手に引き受けて、他の艦船に損害がなかったのは喜ばしい」旨記されている。
つまり猪口は意図的に明るい色に艦を塗り替えて、わざと敵艦載機から目立つようにして、攻撃されるように仕向けたということだ。
確かに武蔵は撃沈されたが、大和など他の艦船には特段損害がなかったわけだから、猪口の作戦は成功したわけだ。
レイテ沖海戦の海軍戦略そのものも、空母を囮にして、敵機動部隊を引き付けて、その間に大和や武蔵がレイテ湾に突入して、上陸中の米軍を叩き、同時に陸軍の部隊や武器弾薬を陸上げするというものだった。
レイテ湾の突入はならなかったが、陸軍部隊はかなり上陸に成功したので、作戦は上手くいったのだろう。
それにしても、武蔵からして2700人の乗員のうち1000人以上が戦死しているのだ。
敵艦載機から目立つ塗装などを施せば、攻撃が集中して、たくさんの戦死者が出ることは容易に想像できた。
それにもかかわらず、戦争に勝つためには必要な作戦だと考えて、それを実行する価値観があったわけだ。
(もちろんアメリカも同じだ。ミッドウェーでもまず間違いなく撃墜されることがわかっていたのに、艦載機を次から次へと南雲機動部隊に向けて飛ばしていた)
戦争に勝つためには、必要かつ、合理的な判断であることはわかる。
なんといっても、平和はありがたいものだよなあ。