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古本屋日誌
俺が小学校六年だった1973年にタイガースは優勝するチャンスだった。
甲子園での最終戦でジャイアンツに勝つか引き分けるかで、久しぶりの優勝だった。
この試合は負けるのだが、それはこの際どうでもいいことだ。
小学六年の俺の目には当時のタイガースは極めて都会的で、洗練されたチームに見えた。
片や、ジャイアンツは何か訳のわからない信仰、つまり何がなんでも優勝したいというやつに取り憑かれた異様で下らない集団に見えた。
まず、ピッチャーは江夏豊であり、400奪三振であり、カッコいいことこの上ない。
この年には延長戦でのノーヒットノーランを達成したのみならず、自らサヨナラホームランまで放っている。
キャッチャーは田淵幸一であり、ファールフライをきちんと追わなかったりする真面目でないところがいい。
そして、その後でホームランを打たれる面白いところもあった。
そして、なんといっても滞空時間の長いホームランは魅力的であった。
打つ方ではカークランドがいて、この選手は、この年の最終戦の最後の打席に立っていたのだが、いつも爪楊枝を咥える独特のスタイルであって木枯し紋次郎みたいで、これまたかっこよかった。
ジャイアンツの長嶋茂雄は都会的とは全くいえない、意味不明な選手に思えたし、王貞治などは、努力してます感を前面に出している変なバッターと感じていた。
その当時一世を風靡していた梶原一騎の『巨人の星』にも、その雰囲気がよく出ていると思う。
タイガースの花形満は花形モータースの御曹司であり、中学生なのにスポーツカーを乗り回してカッコいいし、容姿も長い前髪が特に印象的で、キザと思えるくらいのイケメンだ。
他方、ジャイアンツの星飛雄馬て、バカだよね。
全然イケてないし、大リーグボール養成ギブスなどといって、変態的な特訓に明け暮れる異常な人物に思えた。
これがその当時のタイガースとジャイアンツのイメージだったのだ。