Welcome
古本屋日誌
このところ、ブックオフをネタにした本が出ている。ちょっと前に『ブックオフぶらぶら学部』が出て、この新古書店へのオマージュがあれこれ綴ってあって面白かった。
さらに今年に入って『ブックオフから考える』が出たのに続いて、漫画家の大石トロンボが『新古書ファイター真吾』を出した。(漫画だ。)
大石の本は慣れ親しんだブックオフで本を買う時のエピソードをあれこれ書いたものだ。
彼は、古本屋ではないから、せどりをしようというわけでなく、また大学での研究に必要な基本書を、岩波文庫やちくま学芸文庫で揃えようというのでもない。
漫画や小説が好きな愛好家なのだ。
純粋な趣味趣向で、ブックオフを訪ねて自分のおめがねに叶う本を見つけ出しては悦に入るという微笑ましい人物。
しかし、どんな趣味でも突き当たる「当てが外れた』問題がある。
釣りが大好きな太公望なら度重なるぼうずにイラつく。
ゲーマーなら苦労して手に入れたソフトがクソゲーで怒りを覚え、破壊したくなるものだ。
映画館にわざわざ足を運ぶ映画好きも、とんでもないクソ作品にしばしば遭遇してしまう。
そして、この場合は延々2時間以上も下らないスクリーンを見つめ続ける苦行を強制される。(あるいは金はスッパリ諦めて映画館を後にするという手もある)
トラッキング趣味の人は道に迷い込んだり、怪我をしたり、クマンバチにやられたりと嫌な目に遭うことがしばしばある。
大石の場合はもちろん目当ての本が見つからないことなのだ。
何日も前から仕事の調整をして、ようやく時間を捻り出して、電車やバスを乗り継いで、さらに30分くらい暑いなか歩いて、ようやくたどり着いたブックオフで、一冊も買えないのだ。
これは確かにガッカリだよな。
そこでは著者はいろいろな合理化を図るわけだ。
「30分も歩けたから健康によい」
「ブックオフの本の山の中を歩けたんだから、十分楽しかった」
負け惜しみなんだけど、面白い。
ただ、趣味絡みの話はこの作者のように明るいネタばかりではないよな。
本の場合は全然読まない本をわざわざ買うてしまう人がたくさんいる。
自分なりの本の価値判断が出来なくて、芥川賞受賞作だから、とか谷崎賞だからとか、ベストセラーだからとか、そういう外圧に押されて買うてしまい、すぐ後悔するわけだ。
そのあたりにも踏み込んでもらいたかった。