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古本屋日誌
2023-04-27 10:19:00
作家の北方謙三が朝日新聞に思い出話を連載している。
昨日は直木賞の選考の話だった。
北方は長らく選考委員を務めていたのだが、『容疑者Xの献身』で受賞した東野圭吾の話だった。
東野は六度目のノミネートで受賞したのだが、ごく普通に考えて『容疑者Xの献身』は出来が悪い。
北方謙三も、その上で「ここで押しきらないと、ミステリーの受賞はなくなってしまう」と考えたし、「この作品は心理描写が巧みだ」とも思って、受賞に賛成したという。
しかし選考委員の渡辺淳一はこれまでも東野圭吾の作品には辛くて❌を付けて受賞に反対してきた。
その理由は「一人の人間の生き死には大変なことだ」それなのに、人助けのために殺人を犯すなどとんでもない話だ、ということなのだ。
しかしその渡辺が今回は△をつけて、積極的には反対しない姿勢だったため、東野圭吾は直木賞に決まったのだ。
これはなかなか興味深い。
確かに「献身」などというときれいな話のようだが、己のために無辜のホームレスを殺して、アリバイ工作するなど言語道断だ。
また一介の高校の数学教師風情が、数学の重要な発見につながる研究をしていたなどバカバカしい。18世紀ならまだしも、現代数学はそんな甘いものではない。
要するにそんな当たり前のことも知らないその辺の大衆の同情を引くために、適当につくったおとぎばなしで、つまらない。