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古本屋日誌

2023-04-22 11:37:00

村上春樹の新作『またとその不確かな壁』を読んだ。初版は35万部だそうで、発売初日に京都のMARUZENで購入した。

 

今回の長編は1980年に発表した中編を編み直した作品だという。

 

主人公は高校生の時に、(よくある話だが)、燃えるような恋愛を体験したが、叶えられず、相手とは音信不通になってしまう。

 

 

そのストレスが昂じて、壁に囲まれた、影を持たない住民の住む街の図書館で、蓄えられてある夢を読む作業に勤しむようになる。

 

 

横にかつての彼女(すでに40を超えている姿)がお茶を用意してアシストしてくれる設定だ。主人公は切り離された影を通常の世界に返して、本体の自分は相変わらず夢読みを続けていく。

 

 

影の方は田舎の図書館の館長となり、マフィンが美味い喫茶店の店主と今度もまた叶えられない恋に悩む。

 

 

最後に本体の方が壁で囲まれた町を出て、影と一体化して、終わる。結局傷は癒えぬままで、元のややこしく、願いも叶わないところに行き着いてしまう。

 

でも幼い子どもを事故で亡くした親は、「なんであの時気をつけてやらなかったんだろう」と悔やみ続ける。

 

また、やりかけの事業の行く末が死ぬ時にも心残りだ、とかわれわれは常に心の傷に苛まれる。

 

それらを回収しようというのが、この小説のテーマのようだ。