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古本屋日誌
定年退職後の長〜〜い老後をどう過ごすかは大変重要な問題だ。
金のことはもちろん考えなければならないが、何もやることが思いつかないようでは、だんだん気が滅入ってくるだろう。
趣味が本だという老人にとって、老後の古本屋経営は魅力的な選択肢だ。
自宅やら近所に店を開いてのんびり売るのだ。
京阪神各地に、すでにそういった古本屋がある。
売っている本は、これまで何十年もかかって溜めた自分の蔵書で、場所も自宅の一階を改築して、本棚を並べたシンプルなもの。
立地は町外れの閑静な住宅地で、店の看板も設置しない。
取り立ててSNSなどで宣伝もしないし、ホームページも作らない、通販もやらない。
ひっそりのんびりやることが目的だからだ。
神戸の元町や大阪の天神橋筋のような何軒もの古本屋が集まり、人出もすごいところに店を出してしまうと、直ぐに本が売れてしまい、長く商売を続けられないだろう。
なにせ老後は長〜〜いのだ。少しずつ蔵書を売っていかないと、また仕入れないといけなくなる。そんな面倒なことはやりたくないのだ。
それでもどこからともなく、嗅ぎつけて、同好の士がやってきて、あれやこれや好きな本の話ができるのだ。
この趣味の合う人との交流ができるというのは、老後の楽しみの中で極めて重要なことだ。
学校にせよ、会社にせよ、隣近所にせよ、これまでの人生では、自分と趣味も違えば、好みや趣向も、性格も正反対の人たちと付き合わざるを得なかった。騙し騙し、折り合いをつけてきた、それが人生だと思ってきた。
しかし、考えてみたら、それは実に煩わしいことで、老後にまで持ち越すいわれはないものなのだ。
これまでの価値観からすれば、ちょっとわがままな人物ということになるのだが、それをあえて演じてみるのも悪くはない。