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古本屋日誌
今日は新装なった祇園甲部歌舞練場に、嫁と出向いて都をどりを見た。
祇園の舞妓や芸妓がいろんなテーマで踊りを見せてくれる催しだ。
甲部歌舞練場では7年ぶりの公演で、なかなかの盛況だ。
それにしても、京都の方々が売り物にしている五花街、舞子や芸妓の商売ほど得体の知れないものはない。
お座敷遊びはやったこともないから、全くわからないし、彼女らの舞や踊り(正確には舞だろうけど)のレベルがどの程度のものなのか、判断する基準すら持ち合わせていないから、(ようわからんけど、きれいだよなあ、ありがたいことだ)と思うのが関の山だ。
つまり正確にはいいのか、悪いのかも全然わからないものに、それなりの金を払わせようというのが、京都の連中の考えなのだ。
今日の一等席の料金は6000円なんだが、「茶席付き」の券があって、こちらは7000円なのだ。
もちろん、歌舞練場の座席へのお茶やお茶菓子の接待があるわけではなく、開演の少し前に広間に客を集めて、抹茶とおまんを出すだけのものだ。
大広間にはたくさんの椅子と文机が並んでいて、客はそこにこしかけ、女中さんが、運んできてくれる茶菓をいただくしくみだ。
これでプラス千円というのはどうなのか、と思うところだ。
しかし、客の不満を抑える工夫があるのだ。
それは、大広間のセンターに、茶釜が二つしつらえてあって2人の芸妓が茶をたてている。
これは、芸妓の仕草を見るだけのもので、われわれが飲んだ抹茶は別室から運んできていた。
客は配られた茶菓をいただきながら、彼女らのしぐさを見るのだ。
彼女たちは念入りに化粧し、襟足も見事だし、簪なんかもたいそう立派に見える。
ただ芸妓の化粧やきもの、かんざしを評価できる能力など、全く持ち合わせていないから、これまた、(ご立派ですなあ)で終わってしまう。
芸妓や舞妓への共同幻想みたいなもの(きれいだとか、憧れを抱く存在だとか)が厳然とあるとして、そこにあぐらをかいて京都の商売は成立している。