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古本屋日誌
ネットが普及し、通販が一般的になるまでは、本は店を構えて売るものだった。
高校時代、阿倍野の斎場から南海平野線に沿うてだらだら下り、阿倍野区役所や天王寺高校に至る道には数件の古本屋があった。
歩道に面して間口の広い店舗で、棚という棚にはぎっしり埃まみれの本が詰め込まれているほか、通路にも雑誌がうず高く平積みしてあった。
1970年代から80年代にかけてはいくらでも古本が集まり(店までお客さんが持ってきてくれる)、またよく売れたのだ。
しかしたくさん出版されている本の大半はくだらないものであって、中身が優れているとか、装丁がよいとかで売れているわけではなかった。
本や映画、テレビくらいしか娯楽がなかったので、面白くなくてもやむなく本を買うという時代の流れがあったのだ。
その上げ底やメッキが剥がれて、本は売れにくくなり、店舗を構えているメリットが疑われ出したのだ。
リーマンなら月給だから、月の収入は計算できるが、自営業の場合、全く読めない。
とりわけ店舗を構えていると毎月取られる固定費のことが、常に頭をもたげてきて、心休まらない。
連れの印刷会社の社長は「支払いが切羽詰まって、どないもこないもならん時な、強盗でも、たたきでもなんでもしたろか❗️て本気で思うもんや」という。
この人は結局会社を畳んで、今は予備校で現代文を教えている。
顔色も明るくなりよかったと思う。
真面目な人は自分で抱え込んで、見境なくなってしまう。
うちの場合は通販なので家賃もかからず(Amazonの固定費は月に5000円くらいだし、このホームページは千円だ)倉庫もないから、売れ行きが思わしくなくても、気に病むことはなさそうだ。それにもかかわらず、俺は売り上げが少ないと気になる。
「いい本を仕入れられてないから、客にそっぼむかれたかな」
「納品書はめんどくさいし、無駄だから入れてない、これが嫌がられているのかな」とか検証のしょうもないことをあれこれ考えてしまう。