Welcome
古本屋日誌
2023-03-23 12:48:00
齋藤なずなが小学館から「ぼっち死の館」を出した。
齋藤は稀代のストーリーテラーで、日常生活を細かく描きながら巧みに話をまとめて行く手法は鮮やかだ。
ただ、今回は一人暮らしの老人が多く住むアパートが舞台で、その日常生活は詩的でもないし、悲惨な出来事もいくらでも起こる。
同じことを毎日言ってくる不気味な老人の話や、1週間ほど、姿を見せないから、もしやと思ってアパートの部屋を訪ねてノックしてみたが、返事がない。
異臭があるかと鼻を働かしてみても別段異常はなかった。
しかしひと月後、やはり老人が孤独死していたことが明らかになって、「腐敗が進まず、ミイラ化の方向に」進んでいたという話になる。
こういった救いもなければ、オチもない、身も蓋もないような現実をこれでもかと描いて行く。
しかし齋藤には天性の才能があって、ラトシーンは心静かに、全てを受け入れたくなる展開になって行くから驚かされる。
それは彼女の卓越した画力によるところもあるのだが、それにしても大したものだ。