Welcome

古本屋日誌

2023-03-14 11:54:00

大江健三郎が亡くなった。

 

 

88だから仕方がないのだが、我が国の純文学界に君臨した巨人の死は残念に思える。

 

 

天才にありがちな、不思議なアンバランス感が大江にもあった。

 

 

作品の世界ではあれほど圧倒的で、先駆的なそして不道徳な内容を描き込んだ人物が、政治の世界では極めて真っ当で、しかも的外れな発言を一貫して繰り返した。

 

 

彼の中ではそれは一貫性のある行動なんだろうけど、われわれ一般人には極めて不思議に感じられた。

 

 

(ただし、ノーベル賞を受賞した後、文化勲章を「私はそもそ天皇制なるものを認めない、そんな国から貰いたくない」として拒否したのは大したものだと思ったけどな)

 

 

新潮社から出た「個人的な体験」は1965年の刊行なんだよなあ。頭に障害のある長男が生まれた時の父親のエゴイスティックで、情けない言動をこれでもか、これでもかと粘着質な文体で描いた。

 

昭和40年、そんな大昔に、わが子の死を望み、それを医者にも公言して、自堕落な生活にふけるなどという不道徳な人間の姿をよくまあ書けるもんだよなあ。