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古本屋日誌
中之島美術館で開催中の「大阪の美人画」展は先日から後期の展示となった。
北野恒富の『淀君』や「茶々」がいよいよ登場。
お市の娘で美人だと思われるのだが、恒富の「淀君」は顔の長い中年の普通の女だ。
悪女というイメージに沿った造形なのかもしれないけど、そもそも大坂の陣は無駄な戦いだった。
幕府の公式記録である『徳川実記』にすら大した記述はない。
二度も大軍を全国から動員して、多大な戦費を浪費し、あまつさえ東西両軍合わせて大量の戦死者を出してしまった。
歌舞伎の『近江源氏』は大坂の陣を真っ向から扱った作品だが、上演は認められていたし、書籍でも「難波戦記』は徳川の非をあれこれ並べ立てて、嘲笑う作品だが、流通していた。
要するに徳川幕閣にとってすら、問題のある戦いだったわけなのだ。
さて、「茶々」の方は幼い頃を描いたものだが、まるまるとしたはちきれんばかりの丸顔の子どもの絵で、成長した「淀君」とはかなり違う。
ただ俺が面白かったのは生田花朝の「天神祭』だ。
これは1935年ごろの絵だそうで、大大阪といわれ、大阪が繁栄を謳歌していた頃の作品だ。
祭事にもいくらでも金も手間もかけられる恵まれたいい時代の作品だ。
その天神祭の船渡御、御鳳輦船を描いているのだが、船縁には鈴なりにたくさんの男が腰掛けていて、両足を川に突っ込んで涼んでいる。
また暑いせいだろうが、着物をはだけて、布袋さんのような腹を丸出しにもしているのだ。
かりにも神様の御前なんだし、川岸にはたくさんの見物客も控えているのだ。
少しは威儀を正して、衆目の期待に応えたいところなんだが、大阪の人たちはすっかり油断してしまっているわけだ。
これは天神祭が、祇園祭のような町ごとの対抗レースになっておらず、意地の張り合いがないからだろう。