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古本屋日誌
脳生理学者でテレビでお馴染みの中野信子が新潮新書から『脳の闇』を出して評判だ。
中野信子は幼い頃から神童のほまれ高いお方で、東大の工学部を出ているのだが、その著書ほぼ全てに自分の顔写真をカラーでカバーに載せている変わった御仁だ。
美人だともいえる顔立ちなんだが、目立ちたがりなんだろう、それも結構なことだ。
この本には、少し前に、ある大したことない男から交際を迫られた顛末が書いてある。
中野の目から見たら、つまらない大昔の時代遅れの話をしてくるバカと映っていた。
しかし、結局その男からの連絡がないとイライラして、「相手にされてないのかもしれない」「なんで返事が来ないんだろう」などとヤキモキしていたという。
もちろん、中野は今も、その時も結婚していたわけだから、不倫に踏み込もうとしていたわけだ。
そんなややこしい話を、臆面もなく本にして日本国民に読ませてくださるわけだから愉快なお方だ。
それはさておき、中野はこの本でも繰り返し人間の脳というものは、相手の不正を、たとえそれが自分の利害と少しも関係なくても許せない存在であり、不正を糾弾することで快感を得るのだという。
またその際、自分に正義やら真理やらの大義名分があるとより一層、相手を叩こうとするものなのだ、そういう脳の構造になっているとおっしゃる。
そしてその正義の暴走を止めるには、そもそも人間の脳には勝手に暴走する欠陥があることを自覚して、相手を許せなくなるスイッチがどのあたりで入ってしまうのかを知っておくのが大切だというのだ。
中野先生は1975年のお生まれだが、連合赤軍の永田洋子に聞かせてやりたい話だよ。
でもね、普通の指導者は中野先生のような思考回路ではない。
すぐれた指導者はそもそも自分とその他の人たちを同じレベルだとは考えていない。
いろんな問題を抱えている人ばかりだし、能力や感情の出し方も決して上手いとはいえない人たちなのだ。
そんな人相手にキレたり糾弾したりしてなんの意味があるんだろうか、意味のないことはやらない、そう考えるものだ。