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古本屋日誌
2023-02-15 19:57:00
去年、高橋篤史が講談社から『亀裂』を出した。
金持ちの家の内紛を詳細につづった本だ。
金持ち喧嘩せずと、われわれ貧乏人はなんとなく思っているが、もちろんそんなことはないのだ。
大塚家具の骨肉の争いはよく知られているし、セイコー(服部時計店)の内紛も大変なものだ。
そのあたりは読んでいただくとして、面白かったのは振り込み詐欺の話だ。
セイコーの会長が、NTT株の裏取引を持ちかけられてまんまと50億円を騙し取られたのだ。
NTT株を大蔵省が一定隠し持っているなどというヨタ話に乗せられてしまうのだから、バカはどうしょうもない。
でも面白いのはそこではない。
会長は50億払い込んでしまい、さて、株の取引をする約束の場所に出向いたら
「今日は整ってない」と言われて数回にわたって延期されてしまう。
いつまで経っても履行されないので会長側は業を煮やして返金を求めた。
すると一旦、全額の50億円が戻ってきたのだ。
それで信用を深めたのか、「次は用意できる」とこ甘言にひっかかり、また50億振り込んでしまうのだ。
そして今度は、その金は戻ることはなかったのだ。
面白い話だよね。
だってなんで犯人は一旦金を返したんだろう。
捕まるリスクを高めただけじゃない。
「今回は手付けで5億振り込んでもらえますか、株の準備をしますから」とかいってある程度の金を振り込ませ、「すみません、不調になりましたから、一旦ご返金いたします」といって金を返して、信用させて、次に50億円振り込ませるのだったら、理にかなっていよう。
でも今回はもう50億円手にしているわけだ。
返すいわれなどどこにあるのだろう。
金持ちもバカだが、詐欺師もバカだよねあ。