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古本屋日誌
今朝は大阪市内で氷点下4度だったそうで、田舎の萱島では湯沸かし器が凍りついて、11時過ぎまで使えなかったほか、1センチ程度の積雪があった。
先日自宅の留守電に「藤澤桓夫の本が欲しいんや、『薔薇はよみがえる』と『朝の歌』があるやろ。ホームページで見たわ」
とのことで携帯番号も録音されていた。さらに同じ人からもう一回留守電に吹き込みがあった。声の感じでは70絡みの男性という印象だった。
「せいてるんや、人に渡すゆうたあるさかいな、弱っとるんや」とのことだ。
ちょっと留守電に気づくのが遅れてしまい、どうかなとは思ったが、お急ぎのようなので晩の9時過ぎにお電話差し上げてみた。
すぐにお出になった。
「お電話ありがとうございます。マルス書房です。お客さんの探してはる本がなんですが、『朝の歌』の方は、うちにはありませんわ。どっか別の本屋さんのとまちごうてはるんちゃいますか❓
ただうちは『新雪』はおいてるんで、もしよろしかったらこっちと合わせてどうですか❓」
急いで探している本だと言いながら、持ってないうちに何度も電話してくるのはちょっとおかしな話だが、とりあえず藤澤桓夫の本で持ってるのをあげてみたのだ。
「あー、それでかまへんわ、その『新雪』は小説やな?エッセイちゃうやろな。」
「小説です、もちろん。文庫にもなっとります」
藤澤の『新雪』は珍しく文庫本にもなっている長編小説で、これを知らないというのは不思議だ。
また藤澤は小説よりエッセイの方がいいものが多い(『大阪自叙伝』とか「回想の大阪文学』とか)のも常識だ。
それをご存じないのか、それともかなり変わった審美眼の持ち主なのか、よくわからない。
「いやな、弟子に渡すゆうてあるよってな、無いと困るんや、助かったわ。
明日にでも振り込むさかい、口座教えてくれ❗️」とおっしゃるのでお伝えしておいた。
普通なら翌日から遅くても2、3日のうちに振り込みがあると思うでしょう。
ところがもう3ヶ月は経過してるけど、一向に振り込みはない。
通常のお客さんは自分が好きな本や作家については、古本屋なんかよりはるかに詳しい。(これは古本屋商売の不思議な特徴なのだ)
古本屋の方が詳しいようなお客さんは、実に怪しいというのも、真理だろう。