Welcome
古本屋日誌
先日、本の雑誌社から出た向井透史の『早稲田古本劇場』があまりに面白かったので、だいぶ前に右文書院から出た「早稲田古本屋日録』も手に入れて読んでみた。
こっちの方はちょっと作り物めいていて、あんまり面白くなかったな。
お客さんのお宅に買取に行く話が載っていて、案内された2階の、本が詰まった部屋には、ふかふかのカーペットが敷いてあって、その感触のよさにつられて、向井は眠りこけてしまったのだそうだ。本の査定もせずに。
ふと気がついたら、毛布がかけてあったそうで向井はお客さんの配慮に汗顔の至りとなる話なのだ。
そんなことあるのかね。本当に。
未知のお客さんのところで、価値のよくわからない本を前にして、よく眠りこけてしまえるもんだよなあ。
俺だったらどう値段をつけようか、この安い値段でお客さんをどうやって納得させようかと脂汗が出るところだよ。
でも向井が工夫したいろんな比喩表現は楽しかったし、読みやすい文章だし、深夜ドラマで使えそうな話だった。
俺としてはわけのわからないお客さんの話を期待していたから、第1作は当てが外れた。
一般的に考えても対面販売よりネット通販の方が、非常識な客が出現しやすい。
面と向かってあれこれ言うのはさすがに憚られるけど、スマホで見ず知らずの商売人にあれこれ、ズケズケ言うのは抵抗ないからだ。
俺のところでは水木しげるの「カランコロン』を注文してきた長崎県の客がいた。
この本は水木のいろんなエッセイを網羅した大部のもので、なかなか人気がある。
太い本なのでレターパック赤(520円、速達扱いとなる)で発送したのだが、しばらくして「取置き期間内」に連絡が無かったとのことで返送されてきた。
住所は正しいし、当該の郵便局が不在通知を入れているにもかかわらず、連絡をおこたり、あげく戻ってきたわけだ。
仕方なく客のアドレスに連絡入れてみたら
「全額返金してくれ」としか戻ってこない。
普通に考えたら自分の不手際が原因で、俺もそうだけど、郵便局の人たちにも迷惑をかけてしまっているわけだ。
「すいません、ちょっとしばらく用事で家をあけてまして、こんなことになってしまいました」と詫びるのが筋だ。
ところが大の大人のくせにそんなことも出来ない。
「こちらとしては、ミスは全く無いので、送料の返金は出来ません」と返しても
「とにかく全額戻してくれ」としか返ってこない。
バカバカしいので、さっさと本代は返金したのだが、その後も
「送料の520円を返さないのはおかしいだろう」とひつこくメールをよこしてきたのにはあきれたな。