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古本屋日誌
2022-08-29 10:22:00
大阪の作家で取り上げられるのは非常に偏りがある。
古くは織田作之助。上司小剣。水上滝太郎。
織田の作品は昭和はじめの近代化に突き進む大大阪とは正反対の市井ものだ。時流に乗らない復古的な作品だ。
上司のものはいつも「鱧の皮」。
大阪の節約精神と望郷や、家族愛がテーマになっている、やはり復古的な作品だ。
でも上司小剣には大阪をテーマにしたたくさんのエッセイがあるのに、誰も顧みない。
水上は「大阪の宿」。大正時代から大阪の人はケチで無粋だという話で、要するに今の大阪像にマッチしているだけの作品だ。
そんな薄っぺらな意味のない文学史はいい加減やめたほうがいい。
杉山平一、山田稔、小林一三、宇野浩二、川端康成、富士正晴、川崎彰彦、岩阪恵子、大谷晃一、岩野泡鳴、足立巻一、小松左京、富岡多恵子、町田康、開高健、庄野潤三、芦辺拓、三輪正道、杉本秀太郎、加藤一雄、天野忠、小野十三郎、藤澤桓夫、このあたりが、至極真っ当な大阪の作家(京都の人もいるけどね)だろう。
杉山平一は詩人としても有名だが、興味深い私小説「わが敗走」(編集工房ノア)はことに魅力的だ。
実家の鐵工所経営が行き詰まり、雇用している労働者との交渉に明け暮れるストレスフルな日常をなんとか平静に乗り切ろうとする話で、驚くほかない。