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古本屋日誌
少し前に亡くなった立花隆の作品が文藝春秋から出た。
「インディオの聖像』だ。
ラテンアメリカでのヨーロッパ人の蛮行とイエズス会の布教をテーマにした本だ。
70枚にも及ぶカラー口絵が魅力的だ。
このなかで立花はラスカサスを引用しながらかつてのスペイン人やポルトガル人の蛮行を詳細に記している。
アメリカ大陸を「発見」したコロンブスを始めとして、もともといたインディオを大量虐殺したことは有名だが、立花は虐殺後の国家構成を論じている。
インディオを皆殺しにしてしまい、労働力が不足したので、アフリカの植民地から黒人を拉致して連れてきた国もある。
また同じくインディオを皆殺しにしたが、アフリカの黒人を輸入せず、白人を中心に国を構成した諸国もある。
また極めて例外なんだが、パラグアイはインディオの虐殺が少なく今日もそれらの人で構成される国もあるという具合だ。
われわれからすれば、同じ人間であるのに、インディオを皆殺しにするなど、スペイン人やポルトガル人の残虐性、非人間性に驚くばかりだ。
(もちろんオランダ人も南アフリカで黒人を皆殺しにしたし、イギリス人もオーストラリアでアポリジニーを大量に殺したことも、よく知られている)
では立花隆はこれらヨーロッパ人の蛮行を口を極めて罵っているのかというとそんなことはないのだ。
当時はインディオが、果たして自分たちと同じ人間であるのか、それとも人間ではなく動物のような、どうにでもできる存在なのかを真剣に議論しているという。
また立花隆は「それはそうかも知れない。たしかに、時代の制約はあるだろう。でも日本人はいくらなんでもそこまで酷いことはしてないよなあ」という当然考えられる感想に対して
『日本人だって、つい少し前には中国人やチャンコロと呼んで軽蔑し、殺し続けていたではないか』と書くのだ。
全ての歴史を現代史としてみる考えに異を唱えているのだ。