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古本屋日誌

2022-07-11 14:33:00

消しゴム版画やテレビ評でならしたナンシー関なんだが、時にルポも、書いている。

 

 

その中でも角川文庫の『信仰の現場』は特に面白い。

 

 

ナンシーがオタク系の人達の集まりに野次馬的に参加して写真と報告をまとめたものだ。

 

 

オタク系の人たちでも日頃は大っぴらにその道の信者であることを明らかにはできない。

 

 

つまり日々ががまんなのだ。それが同好の士の集まりなんだから、一気に解放されて面白くなるだろうというのがナンシーの読みだ。

 

 

 

 

初めが平成3年の山梨県民ホールでの矢沢永吉コンサートだ。

 

 

矢沢信者にとっては、彼の一挙手一投足がメロメロになるくらい素晴らしくて、悲鳴は上がるし、バンザイはするし、足は踏み鳴らすなのだ。

 

 

 

さてここからがナンシーのルポです。

 

 

 

「ステージ上の矢沢は煽動的なMCをするわけでもなく、あくまでも音楽を演ってきるだけだ。

しかし気づいたのだが、矢沢は何度も舞台からソデへ姿を消す。

 

曲の間奏で消えて2コーラス目が始まる瞬間に戻っては歌い出すというシーンが数回あった。

 

矢沢本人は無意識なのだろうが、結果的にこれは無言の煽動だ。

 

『ステージに現れる』というのは、いわば『御降誕』である。

 

信ずる者たちにとっては、最も崇高でありがたい儀式を何度も見せているのである。もう会場は大変だ。」

 

 

信者の連中はそれこそなんでも許してしまうわけで、俺はもし教祖だとしたら、だんだんつまらなくなるな。

 

 

 

「おい❗️お前ら❗️そこは笑うとこちゃうやろ❗️あんばいきいとんのか❗️」と怒鳴り出すに違いない。

 

矢沢は、優しいよなあ。

 

信者たちが喜ぶことを何度もしてやるんだから。