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古本屋日誌
2022-06-06 15:25:00
田山花袋が大正3年に出した「田山花袋の日本一周」は2007年に東洋書院から復刻が出た。
全3巻のなかなか大冊でもちろん大阪の話もある。
「大阪人は利の上の交際のみで、家庭の中は城壁のやうで、滅多に人に開放しないさうだが、其処が面白いね。
金さへあれば、開放する必要はないからね。人に内幕なんか見せない方が安心でいいからね。
金がないから、仕方がないから関東人は交際なんかするんだね。そして、生活の保障を友情とか人情とかいふやうなもので得て行くんだね。
だから、関東人の交際は面倒で仕方がない」
これはその通りだ。金がないのが根本的な原因で、1人では生きていけないからどぶ板の付き合い、隣三軒両隣と密に繋がりを持って暮らして行かざるを得ない。
それがいいところもあるのは確かなんだが、全体としては極めてわずらわしいこともわれわれの共通認識なのだ。
大正時代にそれを看破したのはさすがは「蒲団」の田山花袋だよなあ。
これまでの大阪論では、つまりは大阪は金にうるさい、また大きな田舎で人付き合いが濃密だというのばかりだった。
花袋はそんな愚かしい駄論にはくみさない。