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古本屋日誌

2022-05-18 12:56:00

井上章一が朝日新書から「ふんどしニッポン」を出した。

 

いつもながら独創的な研究であり、資料の博捜、たたみかける文体、説得力、どれをとっても名人芸だよなあ。

 

1955年の日米対抗水上競技大会で、日本人の旗手がふんどしを身につけている写真をもとに井上はいう。

 

「日本の水泳関係者は、褌をある種の正装だとみなしていたのだろうか。

すくなくとも、ドレスコードにもとる装束だとは、思っていなかった、また、アメリカ側もこれをうけいれていたようである。

でなければ、国旗掲揚の係を、褌の男になどまかせるはずがない。そして、1950年代の男は、褌一丁でこのおごそかな役目をはたしていた。

 

今とは、褌のかもしだす印象が、まったくちがう。

このいでたちは、礼節にかなうとみなされていた。そんな時代があったのだと言うしかない。」

 

どうですかね。

 

この何行かで、井上は国際大会で褌を付けていたことしか言ってない。何度も色々な表現や別の角度から表すことで、読者に強い説得力を与える。

 

また読点が多用されて立ち止まりながら読むことになり、これがたたみかけ、繰り返される文章と相まってなんとも言えない味わいがある。