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古本屋日誌
2022-02-20 20:33:00
西村賢太は大正時代の作家藤澤清造のファンで、だいぶ前からその全集を7巻で刊行すると公言していた。
20年くらい前には「藤澤清造全集内容見本」なるものを出して、その中で全集の第1巻の刊行は2001年の3月上旬としていた。
しかしそれは果たされることもなく今日に至っている。
2007年には「文学界」に「小銭をかぞえる」という小説を載せた。
それは例の「藤澤清造全集」の発刊にあたり、印刷会社に内金を入れなければならないのだが、その30万の金が用立て出来ず、はるばる千葉の田舎町まで知り合いに金を借りに行ったり、同棲している女の父親に金を出させる算段をしたりするはなしだった。
確かにこの2007年頃は西村も貧乏で金の工面に四苦八苦していたのだろう。
でも「一私小説書きの日乗」で西村本人が書いているのだが、芥川賞をもらう前の年、つまり2010年の年収は480万だったそうで、それなりの金額であるよなあ。
また芥川賞をもらった2011年の収入は新潮社からだけで3600万あったと書いているから、その他の出版社からの分を合わせたら相当なものだったことは間違いない。
それにもかかわらず「藤澤清造全集」はただの一冊も出なかった。
西村賢太にその意欲が薄れたのだろう。
でも毎月の藤澤清造の命日にはほぼ欠かさずの能登の七尾まで出向いて供養は欠かさない。
飛行機代や宿泊に、お寺さんに納めるお布施などを考えたら毎回の10万くらいは要るだろうに、よく続けたものだ。