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古本屋日誌

2022-02-02 14:19:00

新潮社から葉真中顕の「灼熱」が出た。

 

大東亜戦争の敗戦後、ブラジルの日本人移民20万の間で巻き起こった勝組と負組の争乱を描いたものだ。

 

これまで高木の「狂信」や前山隆の「移民の日本回帰運動」などで取り上げられてはきたがすでに絶版であまり知られていない。

 

本書では当初圧倒的だった勝組の狂乱ぶりがつぶさに描いてあって興味深い。

 

 

昭和20年の9月24日の午後3時にサンパウロに日本から勝利を祝う船団が到着するとの情報が日本人社会に流れて、当日はブラジル全土から日本人移民がサンパウロの埠頭に集まり大騒ぎとなった。

 

もちろんそんな船団が来ようよしもなく、虚しく時間が過ぎていく。

 

南国の太陽は容赦なく肌を焼き焦がし、喉をからからにしていく。

 

普通ならここで

 

「おかしいよな、なんで来ないんだ❗️俺を騙したな❗️❗️」となるところだ。

 

 

ところが「船は確かにこの沖合に停泊しているんだ。しかしやはり初めはここではなくてリオデジャネイロに出向いてブラジル政府に挨拶をする方がよかろうとなった」

てな新たな「情報」がまことしやかに伝えられて、あろうことかみなそれを信じてしまうのだ。

この辺りの心理のあやはいくら考えても不思議で、誰かに上手いこと解明して説明してもらいたいものだ。