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古本屋日誌
今日は昼から嫁と伏見稲荷に出向いた。例年ほどではないかまずまずの人出で土産物屋も一安心だろう。
バイセルの「ブックセラーズダイアリー」にはスコットランドのせどりの話がある。
Amazonが隆盛を極める前には「ランナー」というせどりで生計を立てている業者がいてイギリス全土に車を走らせて、ある特定の専門分野の本を買い回って利鞘を稼いでいた。
その専門分野はいろいろあったが、共通して言えるのは地方史だったそうで、確かに古本屋も自分店がある地域以外の地方の歴史の本は売りあぐねているだろう。
「ランナー」はレジにそういう本を積み上げて店主と話して、店主の方も店では売れない本が片付いたことを寿いで「ランナーには一割引で売る」ルールが古本界には存在したという。
それが今ではほぼ消滅することになったのはもちろん通販が隆盛を極めているからだ。
バイセルの経営する古本屋はスコットランド最大の規模を誇り、在庫は常に10万冊を超えるのだが、それでもAmazonの脅威はひしひしと感じている。
ある時女から電話があって
「新刊書のところでスコットランドの廃墟の庭についての本を見つけたんですけどね。題名を教えていただけないかしら」という。
「いえ、残念ながら教えられませんね。でもどの本かわかりますから、喜んでお売りしますよ」
「どうして題名を教えられないの❓」
「題名を言ったらアマゾンで買うつもりでしょう」
「とんでもない、母に頼んでそちらの店まで行ってもらうつもりよ」
「いいでしょう。ではクレジットカードの番号とお母さんの名前を教えてもらえますか❓お支払いいただいたら取っておきます」
ここで女は電話を切った。
そこまで神経質にならなくてもいいのではとも思うけど、実際に店の売り上げが落ち込み、これまでの客も通販で買ってしまうのを目にしたらイライラもつのるだろう。