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古本屋日誌
2021-11-24 16:07:00
田山花袋が大正12年に博文館から「京阪一日の行楽」を出した。京阪地方で一泊二日で行ける観光地のルポだ。
800ページ以上もあるし、箱も付いている。また造本も堅牢で布製のカバーに屋形船があしらってある。
面白いのは大阪が東京のかつての姿を今も残していて「懐かしく思える」という記述だ。
四天王寺境内の露店の佇まいについて「あそこへ行くと、三、四十年前の東京を見るような気がするよ、浅草の奥山が丁度あれも同じだったんだからね」
「だから、僕はどうしても大阪の方が東京より二、三十年おくれている気がして仕方がない。…僕はあれが面白いので、よくあそこに出かけていくよ」
またこれに続けて銀行員の細君が尺八を主に吹いている芸人に入れ込んで、亭主もなにもおっぽり出して一緒になった話がある。
二人は仲睦まじく亭主が尺八を吹いていると、その女は扇子を少し開いて見物人に喜捨を集めて回ると続いて「ちょっと面白いぢゃないか。大阪でなくてはそうした話はありそうには思へないぢゃないか」とのコメントがくる。
不倫や不貞はどこでもおんなじだだ思うけど、対面を気にして東京では公にはしないということなんだろう。
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