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古本屋日誌

2021-11-14 18:19:00

夜中にわざわざ大文字山に男とはしゃいで登るような女は珍しいわけではない。
靡かなかったからとて、その時は草臥れていて、早く寝たかっただけだろうから、わざわざ訪ねて詫びなど入れる必要はないと思った。
しかし田中くんはひつこく「頼むから❗️頼むわ。」と言う。
「あのな、一緒に行ってくれたらな、わしの妹が京都の大学に行っとんねんけど電話番号教えたるさかい頼むわ」てなことまで言い出す。
80年代はネットも何もないので男女の出会いはもっぱら友人からの紹介によるものが多かった。
だから別にとっぴな話ではなく妹から「誰か、にいちゃんの連れで適当な男を紹介して❗️」てな話があって「わかったわ、どんなんがええんや」てな会話があってのことであることは間違いがない。
つまり私の知らないところで女の方に一方的に個人情報や何やかやが届けられていて向こうはやる気満々だというこなのだ。
いざ出会ってみて「これはやばい女だよなあ」となったとしても先輩の妹さんとなると断りにくいし、女の方もそれを頼りに居丈高になってくる危険性もある。今よりものすごく面倒な時代だったのだ。
結局私は田中くんと一緒にC棟に出向いてNのドアをノックして出てきた女に
「すんません、わしB棟の三階におる須崎ゆうもんですけど、田中くんが先日のことを詫びたいゆうて今日一緒にきてるんですわ。なんかえらいひつれいなことしよりましたやろうけど、心広うにもたれて許したってもらうわけにはいかしませんやろか」
てなことを頼んでいたら、辛抱できなくなったのか田中くんが後ろから出てきて(彼は私の左後ろに隠れていたのだ)
「なあ、頼むわ、もう会わんとか言わんといて欲しいんや」と小さな声でゆうてペコペコ頭を下げるので驚いた。

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