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古本屋日誌
2021-07-18 12:03:00
向田邦子の遺作「男どき女どき」には「鮒」が収めてある。
小料理屋の若い女と浮気をしていた中年の家族持ちが脅迫される話だ。
一年ほど前は毎週のように逢うていたが、男が海外出張になり、おまけにそのあと1ヶ月入院して自然消滅したと男は思っていたが女の方は含むところがあった。
ある日家族団欒の最中台所にこっそり入ってきてバケツに入った鮒を置いて行ったものがいた。
その鮒はよく見たら背鰭の真ん中が欠けていて逢瀬を楽しんだ女の部屋で飼われていたものだった。女が意趣返しに持ってきたわけだ。
男はさらにエスカレートして家庭を破壊しようとするのではなかろうか、女房にことが知れたら……もっと恐ろしいのは日頃から生意気な娘だとあれこれ懊悩する。
あげく息子を連れて女のアパートに出かけて話をつけようとする。
子どもを連れていくことで二人の関係はすでに終わっていることを明確に知らせるとともに、子どもを前にしたら女も遠慮するだろうと計算したわけだ。
ところが女のアパートには別の若夫婦が住んでいて、すでに女が引っ越したことがわかった。
帰宅すると嫁が子どもにひつこく「ねえ、お父さんとどこ行ってきたの❓」と問い詰めるところで終わる。
まだまだ連作で話を続けられそうなんだけどね。
嫁はどの辺まで知ってるのか❓
肝心の若い女の行方は❓あたりはみな知りたいところなんだけどね。
そうなると男の苦悩は限りなく続いていくことになるけどな。自業自得とはいえ気の毒だ。
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