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古本屋日誌
2021-07-13 20:36:00
生方敏郎の「三都見物」は大正10年刊行の京都、大阪、東京の見聞記だ。
生方は中公文庫で「明治大正見聞記」がある、面白いライターだ。
日清戦争直前の国内に垂れ込める閉塞感や清国への恐怖が同時代ならではの切迫感をもってうまいヒッチで描かれて心打たれる。
さて、この「三都見物」では桃山の明治天皇の墓に詣でる話がある。
なんでもその墓の前にある鳥居にはびっしりと文字が刻まれていて
「なんとか会社これを建つ」という文字だ。要するにうちが金を出しましたよアピールだ。
生方は「この上に広告のためにという文字をなぜ掘らなかったのだろう」と皮肉を書き留める。明治の大帝を商売気なしで称えるいさぎよさはないのかということだ。
このネタは近くはアレックスカーが書いてるよね。銀閣寺や法隆寺の建物の前に「HITACHI」て書いてある立札がある。これを見て日本を訪れた海外の人たちは」あーこの金堂をHITACHIゆうんや‼️それにしてもHITACHI多いな」てな具合だ。
昔から我が国は商魂たくましいなあ。
しかし一方で生方は伏見稲荷に詣でた話を書いていて例の千本鳥居なんだけど寄進した人の名前が書いてないのが多いという。
「巳年の女」とか「丑年の男」と記したり無記名の鳥居なんだそうだ。
今の千本鳥居はご承知の通り建てた年月日に加えて黒々と寄進者の名前が記されている。
いつ頃からこうなったんだろうかね。
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