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古本屋日誌
2021-07-05 13:07:00
立花隆の「死はこわくない」(文春文庫)を読んだ。
この本は以前立花が出した「臨死体験」の続編でその後の20年で得られた脳に関する知見を踏まえて書かれたものだ。
「臨死体験」では「どうしても幽体離脱して外部のものを観察したと言わざるを得ない事例がある」とされていたが、この本では幽体離脱や臨死体験は脳が作り出す幻覚である、生命が長年かかって作り出した死を慰撫するシステムだとされている。
当然死後の世界についても
「死後の世界が存在するかどうかは個々人の情念の世界の問題であって、論理的に考えて正しい答えを出そうとするかどうかの世界の問題ではない」という。
つまりあると思う人はそう信じたらいいし、ないと思う人はもちろんそれでいい、個々人の信念によるというのだ。
立花隆自身は死後の世界はあるとは思っていない、人は死んだら「ゴミになる」という想いに近いという。
ここで疑問なのが死後の世界を否定してゴミになるだけと思っている立花が「死はこわくない」と言い切れる理由だよなあ。
死んでしまうと何もなくなるのであれば、自己を完全に否定してしまうわけだから虚無的にもなろうものだ。
この点に立花隆は
「結局、死ぬというのは夢の世界に入っていくのに近い体験なのだから、いい夢を見ようという気持ちで人間は死んで行くことができるんじゃないか」「死ぬということがそれほど怖くなくなる」と答える。
「ソクラテスの弁明」の最後に近い。
ソクラテスも毒杯を煽る前に弟子に、ゆったりした睡眠はとてもいいものだろうと納得させる。
その上で死ぬのは素晴らしい睡眠と同じで朝までゆっくり目を覚まさずに寝られることなんだから、これほど素晴らしいことはないよなあなどとおっしゃる。
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