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古本屋日誌
2021-05-07 17:17:00
編集工房ノアから出ていた足立巻一の「学芸の大阪」を入手しました。
足立はあの「やちまた」の作者ですね。
徳川時代の大阪で活躍した文人たちの経歴を調べて、そのゆかりの地に足立が出向いてあれこれ調べるスタイルで、ちゃんとした郷土史の本になっている。
大学の先生に郷土史の原稿を頼むと(もちろん頼む方がバカなんだが)適当にこれまで出ている本を引き写して送ってくることがしばしば起こる。
その点、足立はしっかりした文献調査に加えて人間関係も作ってから現地に足を運んでいて、大したものだ。
近松の墓と言われる尼崎の広済寺の話は面白い。
足立が寺を訪ねた時の説明は「真夏の日光の照りつける野道を長いあいだ歩いたことや、やっとたどり着いた寺はがらーんとしてセミだけが激しく鳴いていたこと」てな感じでのんびりした情景が描かれる。
ところがこの寺に長らく所蔵されていた近松ゆかりの品々は四散する羽目に陥った。
その事情なんだが、どういうつてで、足立が調べたのかはわからないが、明治18年ごろ広済寺の財政を支えていた村第一の富豪の家に強盗が押し入り、そのため旧家は没落してしまう。その後没落した旧家の遺子がかつて先代が寺に莫大な援助を与えていたからといってたびたび寺から金品をゆすった。住職はその穴埋めに寺宝を抵当に村の有力者から借金すると、こんどは抵当物件全てが売り飛ばされたのだという。
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