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古本屋日誌

2021-04-20 12:01:00

きつねうどんは丼池に今も店を構える「うさみ亭松葉屋」の考案になるものだ。

その辺りのことはちくま文庫の「きつねうどん口伝」に詳しい。

当初は揚げをうどんに乗せず、別皿で提供していて合わせて白ごはんを注文して揚げをおかずに空腹を満たせるようにとの考えだった。

丼池は今も昔も繊維の老舗が並ぶところで、丁稚はいつも腹を空かせて走り回っていたのだ。

しかし揚げをご飯に乗せて食べると次第に甘く炊いた揚げのお出汁が白飯にしゅんできて、ご飯の味が変化する。

これは確かに楽しいのだが見た目が白から茶色に変わり好ましいとは言えない。

その点、うどんに乗せたら、初めは甘い揚げを思いっきり楽しめる、またその甘い出汁が出てこない段階のカツオや昆布の出汁も純粋に楽しめる。

ここからだが、揚げは必ず箸を使って小さくするものだ。

人によっては空腹のあまり箸でつまんだ揚げを直接口に含んで噛み切って食べてしまう人もいる。

これだと揚げに含まれる出汁がうどんの出汁と混じることがなく、いろんな味の変化を楽しめない。

その点器用に箸で揚げを細かくしていくと、その際じいわり出てくる揚げの出汁がうどんのそれと混ざり合って全く違う味になっていく。

細かくした揚げをつまみ上げて口に含む前にすこし絞って出汁を絞ってやると、揚げの甘さは鳴りを潜めるし、うどんのだしはまろやかになって面白い。


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