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古本屋日誌
2021-04-18 19:32:00
山田稔が1972年に河出書房から出した「教授の部屋」を入手しました。
山田は京大の教養部で当時フランス語を教えていて、バリケード封鎖によって自分の研究室が占拠されたことを題材にしている。
山田は封鎖当初は苦労して集めた本が乱暴に扱われてダメになるのではと心配していたが、しばらくして研究室を訪ねてみたら本は元のままで、乱雑にテーブルや椅子が置かれていたり、各所にヘルメットが積み上げられていたり、壁に「封鎖貫徹‼️」だの「帝大解体‼️」だのといったスローガンが書いてあった。
山田はそれを見て何か心の安まるものを感じでしばしば出入りするようになる。そのために同僚の教授や上司さらには付き合っていた女からもおかしな目で見られるようになっていく。
そこで目にした封鎖中の学生の描写は例の「パルチザン前史」を思わせるもので、クセの強いタバコを燻らせながら長椅子でくつろぎ、雑誌や新聞を読むくらい、特に何をするというのでもないバカな学生の怠惰な日常が描いてある。
作中、秀逸なのは偽学生の話だ。
ある日研究室のソファーに腰掛けてギターを爪弾いている髭面の学生に、山田は「フランス語でも勉強してみたらどうだ」と誘ってみたら
実はこの髭男は三浪生で、「フランス語の勉強なんかいつでもできる」とうそぶき、「こうして僕なんかが研究室に出入りしてギターを弾きながらセンセイなんかとお話ができるというのはなかなかありませんよ、僕はこの封鎖学生に感謝してるんです」などという。
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