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古本屋日誌
講談社から出た「福島第一原発事故の真実」は700ページを超える大冊でなかなか興味深い。
3月11日からの事故の連鎖を時系列に辿ってその危機の深まりを感じ取れる。
白眉は米軍が4号機と3号機に蓄えられている使用済み燃料プールの冷却ができていないことに危機感を抱いて、原発から80キロ圏内のアメリカ人に退避を命じた話だ。
日本政府は20キロ圏内にしか退避を命じていなかったのにそれを大幅に上回る広域を指定したわけだ。
全電源の喪失によって本来なら満々と水をたたえて冷却が行われるはずなのにそれがもう5日にもわたってかなわず、米軍は燃料プールの水が蒸発して燃料がむき出しになっているのではないかと危惧したわけだ。
その辺はこれまでも語られてきたから新しい発見はない。
しかし驚くべきはここからだ。
米軍は政府に「なぜ国家的な危機に自衛隊が出動しないのか⁉️」と尋ねてきたとのことだ。
そのため政府は急遽自衛隊のヘリコプターに海水を積み込ませて3号機の上空から投下して燃料プールを冷やそうとしたというのだ。
しかし1回目の試みは上空の線量があまりにも高くて近づくこともできずに果たせず、翌朝の2度目のチャレンジも相当高い所から投下せざるを得ずほとんど水をプールに投入できず失敗に終わったのは周知のところだ。
軍隊は国を守るためにあるわけだから国家の危機に際して兵士が命を賭して戦うのは民主主義国家の根幹であることは歴史的な事実だ。
しかし戦後の日本は国防を全面的に米軍に委ねて、その恩恵を受けてきた長い伝統がある故に、もはや危機に直面しても機動的な対処できる体制がない。
それよりも何よりも、命をかけて国を守る思想的なバックボーンを全国民が喪失している。
したがって日本に戦争は無理で、ある意味では結構なことだ。
ただ緊急事態が発生した際に機敏に必要なアクションに出られないことも確かだ。
天下の碩学、スティーブンピンカーは人類が戦争を駆逐しつつあり、今後大規模な戦争はないと予言している。
そうであるなら軍隊を日本が保持する必要もないし、むしろ戦争などできない自衛隊は歴史を先取りした存在だと誇ることもできよう。
ただ原発事故や地震、大規模な風水害は今後ともいくらでも発生する。そんな時に身を挺してでも他人を助けるバックボーンてなんなんだろうか❓
惻隠の情なのか見るに忍びないという感情なのかよくわからない。
今日でさえ自衛隊員は風水害や地震、火災の際にかなり危険な業務を担わされているが、彼らにどの程度の給料が支払われているのかわからないが、縁もゆかりもない単なる他人のために命をはるいわれなどあるわけない。
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