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古本屋日誌

2021-02-26 11:47:00

桂米朝は講談社文庫の「桂春団治」の解説を書いているなど、春団治に関してあれこれ発言している。

わたしが印象的だったのは初代春団治の「阿弥陀池」に関するコメントだ。

この落語の中で主人公のアホが人をかついでやろうと近所で強盗殺人事件があったという虚偽の受け売り話をするシーンがある。

強盗が懐から抜身のあいくちを出して八百屋の親父に切りつけた。「おやっさん、ぱっとあれかわした」「何かわしたんや❓」
てなやりとりになって、つまり「体をかわす」が出てこないで、四苦八苦する模様が西ノ宮のえべっさんまで引き合いに出して面白く語られる。

米朝はこのくだりについて「しかし『あれかわした』で意味は問題なく通じる。それを『何かわしたんや❓』と尋ねるのはそもそも不自然だ」という。

これは米朝が春団治に嫉妬しているのがよくわかる話だよなあ。

そんなもの相手は「体をかわした」だということなど先刻承知で、おちょくってやろうとして嫌がらせを仕掛けていることなど一目瞭然だろうよ。

聞いてる方も「さ〜て、どないしてこのアホを困らしてやるんやろ、おもろいなあ」と思って一生懸命聴いているわけで、米朝ともあろうお方にしてはバカげた発言だ。

自分にもあるんだけど、思うように表現できない領域って誰にでもある。

米朝にとってはこの辺の途方もないおちょくりの面白さはなかなか出せない話芸の一つで、それを難なくクリアしていく春団治にへんねしを覚えるのはよく理解できる。

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