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古本屋日誌

2021-02-18 14:13:00

谷口雅男の「ふるほん文庫やさんの奇跡」はなかなか面白い本だ。

谷口は高卒でいろんな仕事を転々としてやがてメナード化粧品のセールスとして全国屈指の成績を上げるが、独立して新しく設立した化粧品会社が立ち行かなくなってしまう。

やむなくパチンコ屋の住み込みの店員となり、7年ほどの準備期間を経て愛知県豊田市に在庫11万冊という文庫本専門の古本屋を1994年に創業した人物だ。

店はその後北九州市に移転し、大型の店舗に40万からの文庫の在庫を持ち、店売りで100万、通販で150万ほどの売上があったが、その後立ち行かなくなり2011年ごろに倒産してしまった。

そのあたりの経営云々にはわたしは興味はない。同じく古本屋ではあるけど考えは谷口とはまったく違うので面白いと思うだけだ。

ただこの本で一番の読みどころは豊田市から北九州市への900キロに及ぶ店舗移動を決断するシーンだ。

豊田の店は全国でも稀な文庫本の専門店だということでマスコミの注目を浴びて取材も多く、店売り、通販とも好調だった。

ところが谷口が好きになった女が北九州市に住んでいる。谷口は当初女に豊田に引っ越して来いと頼んでいたのだが女の仕事の絡みで不調となるや、「じゃあ店ごと北九州に引っ越せばいい、早速明日スタッフに相談しよう」となる。

50を過ぎたおっさんが、女の色香に迷ってとち狂ったことをやり始めるのはびっくりする。そんなにすごい美人だったのかね。

スタッフは他に正社員が2人いるのだが1人は「いいですね」と賛成しもう1人は難色を示したが谷口は「2対1の多数決だ、決まりだな、スタッフの数が少なくてよかった。もし30人もいたら大変だった」と書く。

文庫本の在庫はその時点で31万冊に達しており1冊150グラムとしても46トンある。これをみかん箱などに梱包して北九州まで運び込んで、また本棚に並べ直すわけだから想像しただけでバカバカしくなるよなあ。

しかし谷口はいい気なもので、移転を決めた日の夕方から鼻歌もので段ボールに本を詰め込み出したというのだから、女の発するエロス力は恐ろしい。

そこまで谷口を引きつけた女との結婚式の写真もちゃんとこの本には掲載してあって、いろいろ突っ込めるわけだよ。


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