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古本屋日誌

2021-01-14 18:09:00

宇佐美りんの「推し燃ゆ」が芥川賞候補になっている。

宇佐美はまだ学生でハタチそこそこであるにもかかわらず、確立された文体を持つ作家だ。

主人公の女子高生はアイドルグループ「まざま座」のメンバー上野真幸の推しをやっている。

アイドルなんか親密に付き合うことも出来ないし、そもそも作られた虚像でしかない。

しかし主人公はそんなことは百も承知で真幸の見せる一瞬の表情やしぐさに心を揺さぶられてグッズを買い込み、コンサートにいそいそ出かけて満たされた生活を送る。

しかし推し以外の日常生活は破綻していて学校の授業は聞かない、妄想にふける、挙句だぶりになってしまう。

アルバイト先の居酒屋でもミスばかりする。自分では仕事をルーティーン化して何も考えずに乗り切っていこうとするが居酒屋の日常にルーティーンなどあるわけがない。

結局高校は中退し親がかりで、一人暮らしをするが親からは当然「いつまでも生活費を出させるなよ」と言われてしまう。

おまけに、生きがいの推しが突然ファンを殴りつけ、まもなく結婚を発表して引退してしまう。
どうしょうもない日常がねっとりした文体で丁寧に描いてある。

居酒屋で次から次へとミスをして「すみません」の連呼になり、客からの「すみません」と相まって混乱が深まるシーンなど臨場感にあふれ驚くばかりだ。

こういう作品を読むと世間には残念ながらハッキリわかる才能があると感じざるをえないよなあ。


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