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古本屋日誌
去年文藝春秋から高殿円の「グランドシャトー」が出た。京橋のキャバレー「グランドシャトー」を取り上げたもので、大阪のキャバレー小説の系譜につながるものだ。
これまで林芙美子の「めし」や花登筐の「ぬかるみの女」が宗右衛門町の巨大キャバレー「メトロ」を描き、「めし」は映画化されてメトロの内部の様子も印象的だった。さらに磯田敏夫のアルサロ小説、黒岩重吾の自伝ものもキャバレーのスカウトの日常を描いて面白かった。
今回グランシャトーの様子で次のようなことがわかった。
①キャバレーはビルの三階にあってエレベーターボーイがいた、上の階にはサウナがあった。
②ホステスの側から客にタッチすることはよいが客がおさわりすることは許されないタイプのキャバレーだった。
③客席は200くらいあり、ホステスは150名。天井から形の違うクリスタルのシャンデリアが垂れ下がっていた、奥に舞台が設けてあって最盛期には専属のジャズバンドの演奏が楽しめた。シンガーの中にはのちに有名になったものも数多くあった。
④舞台の前にはチークタイムで客とホステスがダンスをするフロアーがあった。
⑤朝礼で昨日のホステスの売り上げベスト10が発表され、トップのホステスは70万からの売り上げがあった。(当時の大卒初任給が1万9千円)店にホステスが出ていく際には銅羅を鳴らした。
⑥店内の椅子やテーブルは青を基調としていて、宗右衛門町のそれのように赤いけばけばしいものではなかった。またVIPの使うシートは特別仕様で、ホワイトシルバーだったので、周りから目立った。またグラスも特別なものだった。
⑦客が座るソファーの背もたれに付ける白いカバーは毎日取り替えていた。
⓼客層は公務員や教員も多く、60分で1200円という廉価コースを選んでサッと帰るパターンも多くあった。
⑨万博あたりから斜陽産業となり、客が減った。キャバレーに来ると一番安いコースでも1200円かかるが、家でテレビを見るとすればただだからだ。
⑩常勤ホステスの日給は2千円でプラス指名料がつく。
⑪昭和38年当時ビールは110円で仕入れ店では270円で出していた。おでんや串カツは300円から。
⑫料金は午後8時までのサービスタイムが1時間800円、8時から11時半までのナイトタイムが1200円。
⑬ホステスの指名料は予約してからくる本指名は500円で、そのほとんどがホステスの取り分だった。来店してから指名する場合は300円。
こんな具合で風俗小説としての価値はあるよね。
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