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古本屋日誌

2020-10-13 13:00:00

片岡壱太郎が唐衣役を務めた「輝虎配膳」をテレビで見た。

ご都合主義満載の歌舞伎で見ている方は時代劇同様次の展開から最後まで見通せるので安心してみていられる。

武田信玄の軍師である山本勘助の母越路が信玄の宿敵、長尾景虎の配下である直江兼続の屋敷にやってきて饗応を受ける話だ。

そもそもこれがおかしな話なんだが、兼続の嫁の唐衣は越路の娘という無理な設定になっていて、その唐衣から「冥途の土産にお目もじに預かりたい」と頼まれたからということでノコノコ敵の本丸にやってくるのだ。

あとはもうなんでもありになって兼続が将軍から拝領した小袖を義母に捧げようとしたら「わしは古着は着たことなどない」と拒否されるわ、果ては輝虎自らが運んだ料理を足蹴にされる。輝虎は怒り狂って越路を斬り殺そうといきりたつわけだ。

だからこの狂言はかなりコミカルでその際たるものが怒った輝虎が烏帽子を脱ぎ捨て、直垂もとって白装束となり向かっていくシーンだ。

輝虎は直垂に加えてその下に着込んでいる4枚の白装束を玉ねぎの皮むきよろしく長台詞を言いながら脱いでいく。4枚ですよ‼️南座の観客からも笑い声がこだましていた。

ただ徳川時代の武家の賓客の饗応では数枚白装束を下に着けることが作法になっていたので、輝虎の仕草は礼儀に則ったものだ。従って本来のまともな観客なら笑い声ではなく「ほーっっっ」てな歓声が起こるべきなんだが、われわれはとうの昔にその知識教養を失っている。

それにしても片岡孝太郎といい、壱太郎といい昔懐かしい大阪アクセントをあやつり上品な会話を聞かせてくれるのは誠に貴重だよなあ。

大阪に住んでいる人でもちゃんとした大阪アクセントを使える人はそもそも少ない。

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