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古本屋日誌

2020-09-26 21:58:00

山田稔が昭和56年に河出書房から出した」コーマルタン界隈」と1刷、帯付きを手に入れました。是非お求めください。
山田がパリで生活している模様を仔細に綴った小説集で、生活の中の些細な出来事にこだわり、あれこれ空想をめぐらし、現実とのギャップを楽しむといったいった内向的な主人公の面白さが伝わってくる。
山田は当時コーマルタンの集合アパートの6階に住んでいたが、壁が薄かったり、無遠慮な隣人の言動があったりして朝5時ごろから騒音に悩まされた。
隣人が起きて咳をしながらトイレに入る音が聞こえてきて、いつまでも慣れることがない。

これを山田は

「人間が発する音には、どんな微かなものでも、車やゴミバケツなど無機物の立てる物音とは異質の性質、霊性とでも名付けたくなる不思議な力がこもっているのだろうか」

と表現している。誠に個がバラバラに生活している現代人らしい悩み事で誰しも思い当たる節があるに違いない。

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