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古本屋日誌

2020-09-16 13:05:00

大正9年刊行の「夜の京阪」に摩耶おろしが出てくる。

それは吉井勇の「京阪百首」で「牡蠣ぶねに君とゆくとき摩耶おろしはるばる雪を吹きて来るとき」です。

摩耶山は六甲山の少し西側にある山で、六甲山系を代表する山岳であるのだが、「摩耶おろし」と冬の北風を呼ぶのは初めて見た。

そもそも「摩耶おろし」なるものがあるのだろうかね。

例の「六甲おろし」にしてからが冬のシーズンに山を吹き下ろして来る風などそもそも神戸にはない。

歌は「やっとあなたと牡蠣ぶねでデートできることになったわ〜ほんまにしんどかったんやからね〜なんと珍しい‼️はるばる遠くの摩耶山から北の季節風が吹き付けてわれわれを祝福してくれてますよ〜楽しもうね〜」というあたりだろう。

牡蠣ぶねが結えてあるのは中之島界隈や道頓堀界隈だろうが、どう考えても三ノ宮近辺の摩耶山から吹き下ろした風が届くとは考えられない。そのあり得ない僥倖を利用して二人のデートを予祝しようとするのだ。

だから実際にミナミで摩耶おろしなるものが吹いていたわけではない。

そもそも吉井勇は東京の出身だから「からっ風」「赤城おろし」などには幼い頃から親しんでいて、そのイメージをよく確かめもせずに大阪にも適応してしまったのではなかろうか。

連続テレビ小説の古関裕而も福島の出で、大阪のことは何も知らない男だ。

よく確かめもせずに「六甲おろし」などとありもしない風の名前を使って「大阪タイガースの歌」を作った。

しかし東京の連中はよっぽどおろしに悩まされているんだろうな。



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