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古本屋日誌

2020-07-23 09:38:00

先週の土曜日から京橋のツインビル一階で久しぶりの古本市をやっている。

マスクをつけることや大阪府が奨励しているコロナ追跡システムへの登録を「お願いします」とある。

また棚と棚のスペースを従来よりゆったりとって密にならない工夫がされている。

京都から参加している町家古本屋「はんのき」の棚に山田稔のサイン本が何冊もあった。
その中に「幸福へのパスポート」もあって、これは山田が1960年代終わりにフランスにしばらく留学した際のあれこれを綴った散文集で、なぜか心打たれる作品だ。

これは山田の私小説みたいなもので、1960年代の終盤パリのような繁華な都会ではなく田舎で留学生活を送った体験を細かく記している。

山田の記憶力は驚嘆させられるものがあり、風景や景色人物像はもちろんのこと、その描写は変に細かくもないのに、何故か鮮烈な記憶を読者に与えるものとなっている。

40にもなろうかという身空でフランスの片田舎で孤独な学業に励まなければならない、日本に残した嫁や彼女が気になったりする。
あれやこれやストレスが溜まり思わぬ形でそれが噴出してしまう。

研究会の場でフランス人の学者が「日本人は閉鎖的で人付き合いがどうしても限られてしまう」と発言するのを聞いて思わず「フランス人だって身内で固まって話をしているじゃないか‼️」と話し始め、やがて自分の言葉に激昂して高ぶりを抑えられなくなる。

バーで強いコニャックをあおりながら日本から訪ねてくる嫁を心配する同僚に
「嫁さんは飛行機で来るの❓」
「いや、金がないので船だよ」
「一等かな❓」
「金がないので三等だよ」
「そりゃ、心配だろう、荒くれの船員に囲まれて奥さんの貞操が危険だよなあ〜」
などと憎まれ口をきいてしまう。
みな自分を抑えられなくなっているのだ。



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