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古本屋日誌
森絵都は直木賞作家でかなり人気もあり、取材にも気合を入れている。釜ヶ崎の路上生活者の見回りにも加わったことがある。
その森絵都に「子どもは眠る」と題された短編がある。金持ちで親が別荘を持っている章のところに一夏中お邪魔して快適なサマーバケーションを過ごしているぼく、智明、ナス、その弟のじゃがまるの話だ。
章が張り切って僕らに英語を教えるシーンがあってナスは中3の教科書を「ええと、イン、ザ、ノース、オブ、ザ、シティ、オブ、ヒロシマ………」てな感じでたどたどしく読むのだが、実はナスは6年も外人から英語を習っていたこんな文など朝飯前なんだが、章を良い気分にさせるためにわざわざ下手くそな読み方をしているという設定だ。
ところが幼いじゃがまるが我慢できず「兄ちゃん、なにしてんだよ」「へんな発音しないでよ、兄ちゃんもっとうまいじゃんか………兄ちゃん、ミスターエリオットに英語習ってたんだよ、6年間も」と章に全部しゃべってしまう。
これで今までの章をボスに夏を過ごす楽しかった一夏は崩壊してしまうという結末になる。
森は子ども時代のおかしな関係が崩れ去って成長する話を書きたかったんだろうけど、話としては破綻してますな。
弟に嘘が見破られて真実が白日のもとにさらされる、つまり「王様ははだかだ」そのままだし、弟のじゃがまるもそんなもん、もっと前に気づくだろうよ。どんだけバカなんだよ。
フィクションの分野は昔から読者が多くて、需要がわんさかあるので、こんな破綻したお話でも出版できてしまう。
これはゴミくずでしかない小説を印刷して流通にあげるという意味では途方もない資源の無駄であるのだが、才能のない人間の食い扶持を提供しているという点では意味のあることだ。
それにしても戦後の我が国はありがたい社会だよなあ。本当に素晴らしい。
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