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古本屋日誌

2020-07-05 20:06:00

川崎彰彦は編集工房ノアから数冊の小説や詩集を出している。
いずれも私小説であり、自分の流儀を譲らないふてぶてしさがよい。
「夜がらすの記」所載の短編は京阪電車の牧野駅近くの学生アパートに暮らす中年男が主人公で、嫁にはすでに愛想を尽かされて逃げられ、カルチャーセンターの講師をしたり、あまり依頼がこない原稿に頼って生活する話だ。
冬には1ヶ月も風呂に入らず、セーターを着たまま寝て、本人も気にするほどの悪臭を漂わせ、食生活はファンから送ってもらったじゃがいもにパンの耳という暮らしだ。それでいて塾で教えて金を稼ぐとか、ガードマンになるとかをする気はない。いよいよ押し迫って、つてを頼って測量の仕事を回してもらおうとするぐらいだ。
これが昭和や大正時代なら極貧生活で、公園で凍死した藤澤清造みたいになってしまうだろう。
ただ高度成長を経て豊かになった我が国ではこんな自堕落な生活でもそれなりに物が部屋に溢れるほどの暮らしぶりになってしまう。


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