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古本屋日誌
2020-06-30 16:07:00
編集工房ノアから山田稔の著作がたくさん出ているが2015年の「天野さんの傘」は著者85の年のもので、米寿も近い高齢なのにところがどうしてどうして、極めて明晰で、嫌味もなく、淡いそれでいて心に残るエッセイだ。
フランス文学の泰斗、生島遼一が大学時代の恩師なのだが、そのお宅に正月年始に伺う話がある。
元旦の午後2時と毎年決まっていて、それがまた憂鬱なため、ある年1時間も遅刻したことがある。先生は自宅まで電話して問い合わせている。
さてご自宅では先生が2時間くらいほぼ一人で最近読んだ本の感想やら、何やらを上機嫌でお話しくださる。
ただ生島遼一は能天気に話をしているのではない、そのエッセイ集の中では「自分の話の空虚さだけをかみしめていることが度々あった。この空虚感の理由は、わたし自身の読書のときに感じていた快感が、……つとめて論理的になろうとしつつしゃべる間に、消失していることに気づくのである」と書いているそうで、なかなか一筋縄ではいかない。
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