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古本屋日誌

2020-06-26 19:33:00

昨日は京都のお客さんのところに買取に伺いました。


京都は買取では侮れないところで、保存状態の極めていい本や帯がきれいなままの本、1刷の本などがいくらでも出てきます。


岩波新書の黄版は1977年に始まったんですがそのNo.1は福田紀一の「近代民主主義とその展望」です。
この本は民主主義の伝統に市民総武装があって、軍備と民主主義が一体のものであることを述べていて、昭和52年というまだまだ戦後民主主義の呪縛がある中、衝撃的な内容でした。


この記念すべき本の1刷がなかなかない。初版で5万くらいは出していると思うんだが、背もペラペラの新書だから読み捨てられてしまうのだろう。ところが京都のお客さんのところには普通にある。


新潮文庫の高沢皓司の「宿命」はよど号の乗っ取り犯の連中が洗脳されて世界各地の拉致事件を引き起こしていくさまを丁寧に描いた作品で、世評も高いが、これの1刷、帯付きがなかなかない。400ページを超える大作で、帯は読むときは明らかに邪魔で取り除けたり、栞がわりに挟んでおくあいだに傷んだり、紛失したりするのだろう、なかなか残っていない。ところが京都の愛書家は持ってるわけです。


山田稔は小説もそうだがエッセイが極めて面白い作家だが、編集工房ノアが出した「北園町九十三番地」の帯付きがある。

山田と天野忠は奈良女子大の講師を同じ時期にしていて、京都まで帰る電車でよく顔を合わせる。
天野忠は有名な詩人だがそんなことはおくびにもださず、「先生はフランス文学だすか、そらしゅっとしてるよってに学生からもてますやろ」てなことを言う。まだ若くて生意気盛り、如才ないやり取りがわかっていない山田はムッとして言葉を返さないてなことがあった。

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