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古本屋日誌
重松清はもともと角川書店の社員で「野性時代」の編集をしていた。
大手出版社に問題なく入社できて、雑誌の編集にも携われ、好みの作家に原稿をある程度自由に依頼できて、収入に恵まれていることに加えて、やりがいも十分感じれたことだろう。
しかし重松はそれに飽き足らず退社して、やがて作家になった。
まるでお釈迦様みたいな人生だよなあ〜
映画にもなった「その日の前に」もなかなか興味深い著作だ。
小学6年の岩本隆子は難病で入院してクラスメイトの見舞いを受ける場面がある。
「ガンリュウ」と呼ばれ日頃はふてぶてしい彼女だが、病気ゆえ弱気になっていて、クラスメートが心配してきてくれたのは嬉しくて、思わず笑みがこぼれるが、いつもは強気で通している自分が殊勝なそぶりを見せてしまっているのはプライドが許さず、そしらぬふうを装い文庫本を読んでいる。
この辺りもよくわかる描写なんだが白眉はそのあとの色紙をプレゼントするシーンだ。こういう場ではよくある設定でクラスみんなからガンリュウにあてた励ましのメッセージを渡すんだが、クラスの子供たちは日頃の強気のガンリュウとのあまりのギャップに圧倒され、事態が切迫していることを思い知らされる。
そして「早く元気になってね‼️」とか「また一緒にケンカしような〜」みたいな寄せ書きが本心からガンリュウのことを心配して書いた文面ではなく、みんなが書いてるからとかちょっと気になるから程度の真心のこもらないおざなりなものであることを深く自覚するのだ。
子どもは変な思い詰めることがあるから「こんな色紙持ってくるんじゃあなかった」とか「書いなおしたい‼️」はては「色紙は手の届くところにあるから、今すぐ破り捨てたい‼️‼️」とまで思うのだ。
たかがクラスメートのお見舞いですよね、心の底から心配しないといけないわけはない、おざなり、その場限りのきれいな言葉で何の問題もない。大人だったらそれが正しいことはよくわかっている。でも子どもってバカだからね〜
ここら辺はうまいよね、さすがは重松清と認めざるを得ないなあ。
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