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古本屋日誌

2020-06-21 16:52:00

角田光代の「キッドナップツアー」は小学生の課題図書として定番で、中学入試にもよく取り上げられている作品だ。

しかし小説作品はそもそもレベルが低く、つまらないものでも需要は旺盛なのでいくらでも出版されてしまう。

この作品も夫婦喧嘩で父親が娘を連れて家を出てしまうことを「ユウカイ」と表現してそのドタバタ劇を描いたものなんだが話の水準が低いことはいうまでもない。

父親は娘を連れて旅行しているのだが、母親から追及され、所持金もないので娘を母の元に戻すことにするシーンがある。
父親は娘に「電車賃がないので、この近くの友人のところに行く。電車賃ぐらい貸してくれる」と言うのだが、その近所に住んでいるという友人のところまで行く電車賃すら無いという設定だ。

さて父子はどうするんでしょうか❓

普通なら友人に電話して金を持ってきてもらうでしょうな、あるいは事情を話して駅員からお金を借りるか、切符を手配してもらう、交番に出向いてお金を貸してもらうあたりが常識ですな。子供連れだし問題は何も無いのに、この設定は極めて不自然だ。

結局なんと父親は駅の自転車置き場に出向いて泥棒しようとする。


娘は「それだけはよそうよ」と必死で止めて結局自転車の残骸が積み上げてある墓場のようなエリアに出向いて「3時間悪戦苦闘して」一台のまともな自転車を作り上げようとする。

3時間も廃車置き場で真夏の熱い盛りに異様な2人組がごちゃごちゃしたたら、いくらなんでも通報されるか、その前にいろんな人から声をかけられるだろう。極めて不自然なストーリーだよなあ。

要するに自転車泥棒のような犯罪に手を染めることなく、人様のものには手を出さないで、がんばりましたという話にしたいだけだ。
まあこれを読んで納得する子どももバカなんだが、書く方はもっとバカだよなあ。

角田光代はエッセイはまだマシで、旅が好きだという話を書く。ガイドツアーのようなお膳立てされたものや、高級なホテルを泊まり歩くような旅行ではなく、それこそバックパッカーのように路地裏や裏町を訪ね歩く。言葉も通じないし、アクシデントにも見舞われてそれこそ二度と旅などごめんだとつくづく思うんだが、それでも懲りずに出かけていく。

彼女によればそれは「信じられないような瞬間」に引き寄せられるからなんだという。

中国の大都会の車がビュンビュン行き来する幹線道路になぜか子犬が取り残されて、今や信号は変わろうとしている、あわやという時に、なんでもないように3人の少年が道に駆け出して子犬を拾い上げて道の脇に移してやって、「ハンカチをひらうような自然ななんでもない動き」だったという。



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