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古本屋日誌

2020-05-28 15:32:00
淀川長治が蓮見重彦や山田宏一に映画を解いて聞かせた中公文庫の「映画千夜一夜」上巻を入手しました、ぜひお求め下さい。

この本は1987年の刊行で、淀川は70近いわけなんだが、博覧強記何でもかんでもよく覚えていて、舌を噛みそうな昔の男優の名前を羅列していく。
「あと、ぼくがすきだったのはあ、ウォーレスリードやルドルフヴァレンチノは美男すぎてという感じあるけど、エルモリンカーン、クレイトンヘイルはもう言いましたね。(中略)トーマスミーアン、トムムーア、オウエンムーアとマットムーアの三兄弟、バートライテル、ギブスンゴーランド、ジーンハーショルト……(以下果てしなく続いていく)」

映画は観てないと語ることは難しいですよね。淀川は何せ1909年、明治の生まれでその時から観まくっていたわけで、蓮見にしても山田にしても太刀打ちできるわけもなく、楽しいお話を拝聴させてもらってありがたいという姿勢で、これに気をよくした淀川が話まくるわけです。

たとえば、アイリーンダンの「裏町」の話をまくし立てる。
「裏町はね。いいとこのお嬢ちゃんがいいとこのお坊ちゃんと仲良くなって公園の音楽堂でデートするのね。」で始まって女が遅刻したこともあって男は別の女と結婚してしまうのだが女の方は思いを立ちきれず2号さんになって男の来るのを待っている、やがて年月が流れて男が死にその息子がアイリーンダンのところにやってくる。父親が楽でもない女に大枚を貢いでいたのではないかと疑ったからだ。しかし女の家には父親の写真が飾られ、白髪まじりの老婦人は慎ましく、少ないお手当ででも男を頼りにして暮らしてきたことがうかがえるとか延々と面白い話をつづけます〜
まああれですな、淀川長治にとっては恋愛は耐えることなんですね。



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