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古本屋日誌
2020-05-23 10:56:00
編集工房ノアの社主涸沢純平の「やちまたの人」には杉山平一の話が収めてある。
杉山の「わが敗走」から散文詩の「星を見る犬」のことが取り上げてあって、杉山が経営していた尼崎精工が倒産に追い込まれ従業員も四散し残ったのは飼い犬だけだったが、ある日出社してみたらその犬もいない。
犬取りにやられたのだ。杉山は保健所に駆けつける。なんでも捕獲した犬は3日間猶予期間が設けてあって、それぞれ別の檻に入れられている。捕まってまだ1日目の犬は騒がしく盛んに吠えたてているが、2日目、3日目となるとすっかりあきらめてから大人しくなってしまう。
その中に弱々しくすり寄ってくる杉山の犬がいて、連れて帰るのだ。
「長い間、精魂傾け尽くして、全滅した悲しみが急にこみ上げてきた。」
杉山は従業員との団体交渉に忙殺されていたし、資金繰りで銀行やら金融屋とのややこしい交渉、取り立て騒ぎにも心が穏やかでない日々を送っていた。その中で家族同様の犬が保健所に連れ去られてしまった。
救うことはできたが後にはやりきれない悲しみだけが残る。
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