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古本屋日誌

2020-05-04 16:16:00

講談社文芸文庫から藤澤清造の「狼の吐息」が出た。
例によって重苦しい生活困窮者の話が面白いのだが「此処にも皮肉がある」と題された短編が収録してあって「5円くらいのマネーなら一つ返事で貸してくれたに相違ない」とある。
これは普通は「二つ返事」というべきなんだが、すでに昭和の初めにはこういう表現があったんだ。
まあ今は返事は一回❗️❗️てよく言われますからね。もちろん伝統的には返事は必ず二回しなければならなかった。

それはさておき、タイトルの皮肉というのは金を借りに行ったんだが、必ず貸してくれるだろう男が留守であてが外れたということなのだ。
相手は篤志家でもないし、金持ちでもない、教誨師に過ぎず、刑務所に出向いて受刑者相手に説教を垂れているからその立場上借金の依頼を断れないだろうという厚かましい話で、笑ってしまう。
ただまあこの教誨師は他の元受刑者が無心に出向いたときには3円もの金を恵んでやったということだから、あながち無理な相談とは言えないようだ。

こんな風にものすごく職業の建前に真面目な人っていますよね。

看護婦でも困ってる患者さんのためなら少々の無理でも聞きましょうてな女は、男もいるよね。
おおつぼマキの「ケンネル所沢」はそういう献身的な若い看護婦をスケベな入院患者がおちょくる話で大変に面白い。この患者は若い男でバイク事故で両手、両足を骨折して入院しているのだが、性欲を持て余しているという設定なのだ。


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