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古本屋日誌

2020-04-15 11:45:00

雑誌「ユリイカ」が先ごろ亡くなった坪内祐三の特集号を出した。450ページを超える大冊で坪内の著作のアンソロジーやグラビアを織り込みながら様々な角度からの話が楽しめる。

坪内は雑誌「ぴあ」に大阪の話を長らく連載して「大阪おもい」「まぼろしの大阪」にまとめてあるが、この連載の関係者の回想が載っている。ぴあの編集だった安藤善隆なんだが、いかにたくさんのことを坪内から教えてもらったかを事細かく記している。

まあそれは事実だろうし、例えば橋爪紳也が書くようなありきたりの驚きのない繊細さに欠ける大阪論とはまったく違う坪内の論考のよってきたる所以を書いてもらいたかったけどなあ。

坪内は明治から大正にかけての文人、趣味家をよく読み込んでいて、そこにあるわあるわ、大阪への敵意むき出しの論考(安藤更生とか、池田弥三郎とか)もちろんもっと多いのは大阪への憧れやとても叶わないという諦念、尊敬の思いを綴った論考(小泉八雲、谷崎潤一郎、小島政次郎とか)を目にして興味を抱いたのであろうことは想像に難くない。

坪内は東京オリンピックにも批判的で「64年のオリンピックで東京の街は破壊されてそれまでとはまったく違うデタラメなものになってしまった」といい、大阪万博に関しても「あのパビリオンはナチスの強制収容所の系譜に連なる」とまで言う。

橋爪紳也は2025年のオリンピック大賛成なようだし、どう考えても坪内とは相容れないよな。その辺りの軋轢や違和感について安藤には語ってもらいたいのだがなあ。今回の論考にはない。